個人的な意見だが、もうdocomoからiPhoneは出ないと思う
コチラの記事(それにしてもタイトルバナー大きすぎるのでは)を読んでてふと思ったけど、docomoからはもうiPhoneは出ないと個人的に思っている。 docomoの今度の社長が、iPhoneについて「諦めたわけではない」と、ふくみを持たせた発言をしているのは、出せないことを認めてしまうと一気になだれのように我慢していたdocomoのユーザが流れてしまうのを阻止するためだと思っている。
本題の前に、先のブログで書かれているdocomoのキャリア名がiPhoneで表示される件だが、これは将来的なキャリアとなる可能性とはまったく関係ない。 海外で購入したiPhoneを日本で使用した場合、日本のローミング先として、3Gを使用しているソフトバンクとdocomoのキャリア名が表示され、任意のキャリアを選択できる。 つまり、ただ単純に電波形式から利用できるキャリア名を表示しているだけの事である。 逆に日本で購入したiPhoneをアメリカにもって行くと、AT&TとT-Mobileが表示される。 これをもってしてT-Mobileから発売される可能性がある、と言っている様なもので、そんな単純なことではない。 (すくなくとも3Gを持たないT-Mobileからはありえないと思われる)
ずいぶん前に、3Gが日本発売される時もdocomoからの可能性は低いと書いたことがある。 このときはFOMA プラスエリアの対応がiPhone側ではできず、実用的な使用可能エリアが少なくなるという問題からiPhoneを採用しにくいとした。 が、最近はブラックベリーもFOMAプラスに対応してきており、法規的な問題はクリアできたのだろう、と思われる。 そういうわけでiPhoneでもFOMAプラスの800MHzは受信可能であり、機能的には問題なさそうなのだ。 それでもdocomoがiPhoneを採用できない理由は他にある。
まず、「i-modeメールが直接使えない」ということだ。 docomo端末のメールというと、i-modeメールになるが、これはiPhoneの使用できるe-mailとは似て非なるもので、i-modeへのアクセスが必要になる。 iPhoneはi-modeからみれば一般のパソコンと同様であり、i-modeにはアクセスできないので、i-modeメールが使用できないのだ。 これでは非常に困る。 先のブラックベリーでは、i-mode netというサイトを経由してなんとかi-modeメールを間接的に使えるようにしているが、このサービスは有料である。 もしiPhoneがdocomoで使えるようになっても同様な対応の仕方と思われる。 また、docomoではMMSサービスが利用できないので(i-modeメールがその代わり)メール関係の使い勝手が不十分と感じる事だろう。
もうひとつの理由は、i-modeのアプリやサービスのビジネスモデルが成立しなくなるということだ。 昨今はi-modeを市場として、いろいろなサービス業種が参入している。 天気予報やニュースなどの情報のみならず、銀行の振込みやチケット購入、またゲームなどはいうにおよばずだ。 これはサービス側だけでなく、docomo側にも重要な収入をもたらしている。 サービス側は定期的にdocomoにi-mode参入料金を支払うことで、i-mode市場に自社のアクセスを確保して利益を上げている。
もし、ここにiPhoneのappstoreが登場してしまうとどうだろう? たとえばゲームなどは、i-modeにあるゲームと同じようなゲームが買いきりで購入できてしまう場合、当然ユーザはそちらに流れてしまう。 i-modeでも買いきりにしてしまえばいいのだが、そうなるとサービス提供側は参入料金の支払いが難しくなる。 そのためサービス提供側は、料金のかさむi-modeを止めてiPhoneのアプリに専念するようになるかも知れない。 なんたってアプリはソフトバンクユーザからも購入してもらえる可能性もあるのだ。
こうなってくると、今までサービス提供企業をi-modeの市場に囲い込んでいたビジネスモデルが成立しなくなってしまう。 iPhoneを販売すると、docomoが自分で自分の首を絞めてしまうのだ。
そんなわけで、オレはdocomoからiPhoneが登場する可能性はもうほとんど無いと考えている。 もしあるとすれば、それはdocomoがi-modeをあきらめたときだと思う。
そうこうしているうちに、徐々にiPhoneユーザのdocomoへの侵食は始まっている(この際auはすでに蚊帳の外、さらに、しちめんどくさいwillcomなど論外)。 一度iPhoneの魅力にとりつかれてしまうと、次に機種変更するとき、他の携帯を選べなくなってしまう。 この中毒性はすごい。 ここにきてくれる人の多くも、気にしているのは「次にどんな携帯が発売されるか」ではなく、「次のiPhoneはどう変わるのか」だと思う。
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» 以前にも書いたかもしれないが、そろそろ天下り企業であるdocomoを、見捨てる時期ではないだろうか。 [Mac World NeXT]
いいかげん、NTTはレガシー企業だということを認識してくれ。 [続きを読む]
ただ単にdocomoもスマホは販売しますよ、ってポーズでしょ。本音を言えば既得権を脅かされるスマホ(iPhoneも含め)なんて日本から出て行って欲しいのが本音。docomoショップに足を運んでAndroidやWMがどういう扱いを受けてるのか見ればよくわかりますよ。殆ど売る気無しに近い状態。
ワンセグにさえ課金を目論んでいたdocomoなんですから、iモードを核とした搾取スタイルを脅かすモノは全て敵なんでしょう。今だ国営企業体質を抜け出せていない親方日の丸企業ですね。
投稿: | 2009年8月 4日 (火) 22時39分
docomoは現在のi-modeのビジネスモデルを崩したくないのでは、というKellyさんの意見に賛成です。以前docomoは英国のO2と組んで英国でi-modoをはやらそうと画策しましたが、見事に転けました。 たしか2年くらいで提携を解消し、現在O2は英国でiPhoneを販売しています。 英国でi-modeがはやらなかった理由ははっきりしています。英国を含む欧州各国では違うキャリアー同士でも自由にSMSを送受信できるので、i-mailを使う必要が無かったからです。 もし日本でも違うキャリアー同士でSMSが送受信できるのであれば、おそらくi-modeはこれほどはやらなかったと思います。 殆どの携帯ユーザーの携帯メールはSMSでも送れるほど短い文章でしょう。 英国ではそのうちBlackberryにpush mailの市場を取られてしまいました。 日本でdocomo userがiPhoneを含むスマートフォンを使用する場合不便なのはi-mailが使用できないことですが、これはSMSをキャリアー間で解放することで解消できます。しかしdocomoは解放しないでしょうな。 それをすると今までのi-modeの顧客は雪崩をうってスマートフォンに行く可能性があり、i-modeのビジネスモデルが崩れてしまいます。 それでなくともWiFiやWiMAXが殆どの都市部をカバーすると無料のInternet phoneの使用が増え、通話回線料が減っていくことが予想されるからです。 でも、日本でもSMSを解放してくれれば他キャリアー同士でも自由にメッセージが送れるのにな~。
投稿: teddyjp | 2009年8月 4日 (火) 16時57分
>「i-modeみたいなインフラだけでは今後商売にならない」って気がついてるって事なんじゃないの?
これっておかしくないですかdocomoってi-modoは不滅だといってますよ。
http://news.biglobe.ne.jp/it/094/itm_090717_0946613363.html
個人的に私もApple云々ではなくdocomo自体iphone発売はポーズだけで、iphoneを含めたスマホには本気ではないと思いますけど。
投稿: nasu | 2009年8月 4日 (火) 16時31分
うーん。 その、「無理難題」とか「法務」って具体的には一体、何なんですかね? 私はAppleがキャリアに提示する条件などはわからないし、わかり得ないと思っているので、そうでないところから考察してみた次第です。 ソフトバンクがiPhoneをゲット出来たのは、確かに小回りの利きやすそうな会社だからという理由はおぼろげに感じますが…。
ポーズでdocomoがスマートフォンを出したのかはわかりませんが、スマートフォン自体はすでに必然的な流れとして、キャリアは用意せざるを得なくなってきているのだと思います。 (個人的にはAndroidはiPhoneの対抗馬だと思っていますけど) もしdocomoがスマートフォンを用意しなければ、徐々に顧客が他キャリアに流れていってしまうと思います。
しかし、docomoの思惑のズレは、スマートフォンはそれほど市場の割合を占めず、相変わらずi-modeが主流と予測していた事じゃないかと思われます。 それで、iPhoneもあまり売れないだろうと予測してたんじゃないかと思います。 とりあえずラインナップにスマートフォンは用意して、必要とするビジネスマンをターゲットに細々と販売していたと。
ところが、意に反してiPhoneは「一般のユーザー」にかなり販売を伸ばしているようで、危機感を募らせているんじゃないかと。 でもiPhoneをそのまま販売しても、docomo側のメリットは実は顧客流出の食い止め程度でしかなく、i-modeの収入は無くなってしまい、むしろマイナスになるんではないでしょうか。 そうなるとおいそれと簡単にiPhoneに手を出せません。 ただ、それはソフトバンクも同様なんですが、国内3番手キャリアにとっては、顧客数が増えることが何よりもメリットだ、…と判断したのかも知れない、と考えています。
投稿: Kelly | 2009年8月 4日 (火) 15時45分
>ポーズでリリースしてきたスマホのようにはいかないからねiPhoneは。
これ、ここの人が書いたのかな?
WM機はM$のマーケットプレースが、AndroidもAndroid Marketが予定されているのに、iPhoneのAppStoreだけが「特別」本腰を入れなきゃいけないなんて話はこれっぽっちもないかと。どれも始めればそれなりに面倒くさい話。
面倒くさいっていえば、すくなくとも挙げた3社の中で、一番法務が五月蠅いのはAppleだったってだけの話じゃないかと。(その手の話は、未だ密約の全容が語られないAT&Tとの過去のやりとりを見て、推して知るべし。)
そもそもポーズだけで(他の国と比較して)過剰な品質を誇るDocomoの携帯インフラに、どことはなしに穴(の可能性)がたくさんあるスマートフォンを取り入れるかね? 答えはノーだよ。
本当にみなきゃいけないのは、「穴だらけとはいえ、自インフラにそのまま合わないスマートフォンを導入している(しようとしている)」という事実。つまりは既に「i-modeみたいなインフラだけでは今後商売にならない」って気がついてるって事なんじゃないの? だから彼らはチャンスがあればiPhoneだろうとなんだろうと貪欲に取りに行くと思うよ。実際国内の携帯市場は飽和しきってるんだし。(Docomoは)今後の商売が見えていないし、なりふりかまってないっていうのが事実でしょ。
投稿: | 2009年8月 4日 (火) 09時31分
確かにドコモもキャリアのサービスにしばられないスマートフォンを出してるけど、
思い切ったプランがなかったり、無理矢理iモードを搭載する代わりにカスタマイズの自由がなかったり
いびつな物ばかり。ポーズでリリースしてきたスマホのようにはいかないからねiPhoneは。
本腰をいれなきゃならなくなりそうなiPhoneは面倒なんでしょ。
投稿: | 2009年8月 3日 (月) 17時01分
iPhone以外のi-modeのメールやサービスが使えないスマートフォン(WindowsMobile機やAndroid携帯、またはBlackBerryなど。)を既に扱っているって時点で、上記の仮説はかなり洞察が甘いんじゃないですか?
基本彼らは土管屋なんで、別に土管の上にある物は後付でナンボでも用意してきますよ。それだけの体力や財力あるし。
実情は無理難題を言うAppleに対して以前お宮体質のDocomoが首を縦に振れないっていう政治的な話だけかと。
投稿: | 2009年8月 3日 (月) 16時02分